わたしが死について語るなら/山折 哲雄

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「ワシが死んだら、あんたが面倒みてくれよ・・・」

葬儀社として

この様な言葉掛けられる時があります。

しかし内心では…ありがたくは思えないんです。

 

当然・・・言われる方も冗談半分でしょうが

言われた当事者は…

正直、縁ある人の死なんて

考えたくもないのが本心です。

 

しかし、人間社会のルールに

絶対不可欠なのは…「死」

なんです。

 

だから　私たちのような葬儀社が

ビジネスとして

成り立っているのも事実です。

 

でも、私…正直に思うんです。

 

人間の死が…

もっと明るくなる社会にならないかと。

そう言えば語弊があるかも知れませんが

聞いてください。

 

生まれてくることが

大きな喜びであるなら

亡くなることで

「良く頑張ってくれたじゃん。

本当にありがとう。

あなたの子供に生まれて

本当に良かった」という

感謝の喜びになるような…

 

バカな話に

聞こえるかも知れませんが

本気でそう思っているんです。

 

家族の葛藤など

葬儀（死）には

いろいろな人間の

欲望やエゴが

顔を見せることがあります。

 

時には、「本当にこの人たち、家族なの・・・」

という　ひどい状況に

立ち会うこともあります。

 

人間は

そのような欲望やエゴに

何時から

顔を突っ込むようになったのか。

 

そうでなく

唯一の家族であるなら

もっと穏やかに出来ないものか。

そう思うものです。

 

葬儀は、忌み嫌われるものに

間違いありません。

しかし…人間の約束事に

必ず死が訪れるのであれば

人生の終着点として

多くの人が、自分の責任として

自分の最後を

語られる時代がくることを望みます。

 

多くの人が涙し

心のどこかで

「出会えてよかった・・・」と

満足できるような葬儀に一人でも多く

立ち会いたいと思うものです。